朝の見送り

Posted by cot on 2011/03/21

毎朝YukとTamは仕事に行く僕を見送るのが日課となっている。

晴れている日にはしばらく一緒に歩いて、別れ際に3人で抱きしめ合ったり、僕が見えなくなるまで手をふり続けていたりと、少々大げさな家族だなと正直なところ自分は思っていた。

3月11日午後2時46分、僕はちょうど駅に停車している地下鉄に乗っていた。地震の揺れに気がつき電車から飛び出したが、周りの乗客もそれほど取り乱すことは無く、中には座席に座り本を読んで揺れが収まるのを待っている人もいた。僕は地震がこわいので、少しあたふたしながら改札口へ向って階段を駆け上がった。そこで駅員さんからのアナウンスが耳に入ってきた。震度5強の地震があったが地下鉄構内の照明は切れないから安心してください。安全確認ができるまで電車は停止します。というようなことをアナウンスしていた。仕事の打ち合わせがあったので、携帯電話で待ち合わせの人と連絡をとろうと思ったが、全く通じなかった。しようがないので外に出てタクシーを拾って待ち合わせ場所に急いだ。地震がおこってからYukとTamが心配でしようがなかったが、携帯電話が通じないのでどうしようもなかった。とりあえず自分が大丈夫ということを携帯電話の災害用伝言板にメッセージを残した。打ち合わせが終わり、明日までにどうしてもやらなくてはならない仕事があったので、事務所の方面へ取り合えず歩くことにした。歩きながらYukとTamは大丈夫かなと通じない携帯で何度も電話してみたり、メールを送ったりした。所々にある公衆電話に行列ができていたので、固定電話なら通じるのかとわかり行列にならんだ。Yukと電話越しにお互いの無事を確認してひとまず安心した。会社にも連絡がとれて戻らなくてもよくなったが、帰宅難民となり寒さに凍えながら自宅に着いたのは夜中の2時過ぎだった。家族が無事だったこと、また自分が無事に帰れたことに感謝した。

週末が終わり仕事に行く僕をいつも通りYukとTamが見送りをしてくれた。歩きながらYukはなぜ毎朝きちんと見送りをするのか教えてくれた。お坊さんの説法で、「人はいつ死ぬかわからないのだから、日常的な家族や友達との別れもおざなりにせず、もしかしたらもう会えないかもしれないという気持ちできちんと別れを告げなさい。」と教えられ、なるほどと思ったから僕が仕事に行くときはきちんと見送りたいんだと話してくれた。それを聞いて毎朝のYukとTamとのお別れをきちんと受け止めて、自分もきちんとお別れを告げようと思った。

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