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Posted by cot on 2010/10/09
もうずいぶん前にテレビコマーシャルで中田英寿氏が沢山並べられた数々の椅子から自分らしい椅子に腰掛けるというのがあった。そこで彼が選んだ椅子が黒いバルセロナチェア(by Ludwig Mies van der Rohe, 1929)。
1000 chairs (by Charlotte & Peter Fiell, TASCHEN)によると古代ローマのsella curulisという椅子(スツール)を参考にデザインされたとあるが、The Chair (by Galen Cranz, 1998)によると古代ギリシャのclismos(klsmos)をモチーフにしたのではないかとある。
sella curulis(Academic dictionaries and encyclopediasより)
klismos(http://access.decorati.com/2010/03/26/the-buzz-klismos/より)
参考画像を見てもらえば分かると思うが、古代ローマで法の番人が座る椅子だったsella curulisはがっしりしていて男性的である。X形の脚は力強く床に立ち、上に伸びたアーム部は真っすぐ上を向いている。いかにも法律の執行官が座るような厳格な印象を受ける。
古代のギリシャの壷に多く描かれているklismosの方は女性が座っている。緩やかなカーブの椅子の脚も床面にソフトランディングしている感じで、そのカーブの延長の背もたれもエレガントに女性の背のカーブに合わせた様になっていてとても女性的である。
The Chair (by Galen Cranz, 1998)より
上のバルセロナチェアのポスターはたぶんknoll社の宣伝用ポスターだと思うけれど、klismosに座る女性のような猫背の女性が出ている。ファッション雑誌の1ページの様な印象を受ける。ミース氏がどちらをモチーフにしてデザインしたかは分からないけれど、バルセロナチェアから受ける印象は女性的でファッションに強く紐付いている様に思う。
話は戻り、中田英寿氏はプロサッカーという男性的なマッチョな世界で活躍したのにファッションに敏感な女性的な面や、ボランティア活動をしたりと母性的な面も持ち合わせているのだろう。コマーシャルを見た時にぴったりな椅子を選んだなと思った。自分で選んだかどうか分からないが、バルセロナチェアは彼のイメージにぴったりだと思う。
この椅子が座りやすいかどうかはまた別な話だけれど、彼がこの椅子に座って自分らしく快適なのは彼のステータスを象徴する媒体であるからだろう。